日帰り手術
眼 科
日帰り硝子体手術
硝子体手術とは?
眼底には網膜という、カメラでいうとフィルムの役割をする組織があります。
その網膜の中心(部)のことを黄斑(部)といい、視力と色や形の判別に関係しています。
黄斑(部)に異常があると見えにくさ(視力障害)の他に、歪んで見えたり(歪視)、波打って見えたり(変視)します。
また、眼球の中心部は硝子体という透明なゼリー状の組織が占めており、そこが出血等で混濁すると視力低下の原因となります。
上記の網膜と硝子体の異常に対する治療が硝子体手術です。
硝子体手術後は急速に白内障が進行し、多くの場合で1年以内に白内障手術を要するため、
40歳以上の場合は白内障手術も硝子体手術に併せて施行します。
硝子体手術を要する主な疾患の例
当院の硝子体手術のこだわり
25G硝子体手術システムを使用した極小切開硝子体手術
従来の手術のように大きな切開創を作成しないため、手術後の痛みがほぼなく、出血量を最小限に抑えることが出ます。このため従来1週間~2週間程度の入院が必要であった硝子体手術が日帰り通院にて行うことが可能になりました。また手術後の回復も格段に速くなったため、日常生活への復帰や通院回数を減らすことが可能になりました。
眼底広角観察システム BIOM(バイオム)®5 (OCULUS社)
網膜黄斑部硝子体疾患の手術を効率的、かつ安全に行える最新の眼科手術装置です。従来のシステムでは眼内の限られた範囲のみの観察下に手術を行い、そのため周辺部視野を確保するために眼球を圧迫し患者様への負担となっていました。当院では眼底広角観察システムを導入することにより、手術時に広範囲の視野が確保され、手術時間の短縮、および患者様への眼球圧迫の負担を軽減可能としました。
手術内容
正常な状態
硝子体手術
- 手術時間は疾患によって異なります。約30分~90分と幅があります。
術中に他の疾患が見つかった場合などはそれ以上の時間を要する場合もあります。 - 手術の3日前から抗生剤点眼をして下さい。
- 麻酔は局所麻酔です。点眼麻酔、テノン嚢下麻酔、球後麻酔、瞬目麻酔等を組み合わせます。
手術中でも術者と会話は可能です。痛み、咳、尿意等があれば教えて下さい。 - 洗眼と皮膚を消毒し、清潔なドレープで顔を覆い、まぶたを開ける器具を付けます。
- 点眼麻酔・消毒を追加し、必要に応じて白内障手術を先に行います。
- 強膜に3~4か所の1mm程度のトンネルを作り、
そこから灌流・硝子体カッター・照明・硝子体セッシ・レーザー等の器具を出し入れします。 - 創口を縫った場合は術後1~2週間後に抜糸を行います。
- 手術中は動いているものが見えても追いかけず、目や顔を動かさないようにして下さい。
- 術後は異物感、充血等が1~2週間続きます。
- 水晶体(亜)脱臼、眼内レンズ(亜)脱臼等で眼内レンズ縫着術を要する場合は強膜にレンズを固定するため、
追加で時間がかかります。また、術後に乱視が強く残存します。 - ガス置換を要した場合は伏臥位、側臥位等の体位制限があります。
約2~4週間をかけて、ガスは徐々に体内に吸収されます。ガスが眼内に残存している間はぼんやりとしか見えません。
主な合併症
網膜剥離
手術中及び手術後に網膜に裂孔が生じて網膜剥離を生じることがあります。
周辺部の硝子体の郭清、裂孔周囲の網膜へのレーザー凝固、ガス置換を要します。
術後は伏臥位等に体位が制限されます。ガスは自然に吸収され、2週間程度で徐々に見えてきます。
術後数か月を経過してから発症することもあり、追加で手術を要します。
眼内炎
術前後に抗生物質点眼、手術中にも消毒をしていますが、術後に細菌感染症を起こすことが2000~3000件に1件の確率であります。
早期の治療を要し、手術を行う場合もあります。感染した菌の種類によっては早期に適切な治療を行ったとしても失明を回避できない場合
があります。術後に急激な視力低下、目の痛み等の変化があればすぐに受診してください。
駆出性出血(駆逐性出血)
高血圧、動脈圧亢進、急激な眼圧低下、脈絡膜のうっ血等が原因となり眼底の動脈が破綻し、
眼内に大量出血となり、失明を回避できない場合があります。